寒いわ、ままむすめだわ、大変。
「森は生きている」というのを読みました。舞台劇なんですね。以下あらすじ。 主人公は山の中の家に住む、美しいままむすめ(これで名称デフォルト)。いじわるな老婆とその娘と暮らしている。 シンデレラよろしく、まま娘はいつも二人につらい労働をさせられているが、あるおおみそかの夜に森から帰ると「今すぐ森へ行ってマツユキソウを摘んで来い」と二人から言われる。しかも摘むまで帰ってくるなというのだ。 なんでもわがままで気まぐれな女王様が、四月にしか咲かないマツユキソウをかごいっぱい摘んでくれば、かごいっぱいの金塊に変えてくれるというのだ。 おおみそかの時期に花があるわけもなく、森はもうすぐ夜になる。かつ、ままむすめの服装ではこごえ死んでしまうに違いないが仕方なく森へ出かける。 しかし時あたかも森の中では、一年の12の月すべてが集まっているところで、娘の話を聞いたそれぞれの月たちは季節をめぐらせて娘にマツユキソウを摘ませてくれた。 困ったときにまた出会うことができるように指輪と呪文もくれたが、家に戻ったままむすめは寝ている間に指輪を老婆の娘に盗まれてしまう。 老婆たちはマツユキソウは自分たちが摘んだことにして、褒美をもらいに城に行くと、いったい森のどこで摘んだのかと詰問され、女王さまは大臣も連れて森に行くから案内しろと言い出した。 場所を知らない二人は、案内しようとしないままむすめを一人で先に行かせてこっそりあとをつけ、女王様たちも大臣たちも森に入るが……。 作者のマルシャークさんは児童文学の人なので、もうすこし単純な話かと思ってたのですが、なかなか複雑ななりゆきの話でした。けっこう展開が独創的なので先がわからずにどきどきしました。 ちなみに主人公がたびたび現実にうちのめされて絶望しています。マツユキソウを持って帰るときも「どうせまたあそこに戻って生活していかなければならないんだわ……」みたいな絶望感がただよっています。まあそうなんですが。でも自分が凍死させられそうになっても、オノで二人をぶち殺すとか考えないところが彼女の主人公たるゆえんです。 かといって「もう雪の中で首つって死ぬ!」みたいななげやり感もなく、なんとか狼から身を隠そうとしたり冷静で、現実ぎりぎりのたくましさがありました。 まあ、森に入ってからもなんやかんや展開があり、大変なことになってしまいます。なかなかすぐにぼーんとかばーんとかいきませんでしたが。 特に老婆とその娘は、たいへん愉快な展開になってしまいました。いやそれは思いつかなかったよ! まあ、印象でいけばこの話、寒い。 まさに今の北海道にピッタリのお話でした。こんな時期に薄着で夜に森に入ったら、かなり間違いなく凍死する。
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