コミケ72東京旅行のたび6 二日目 夏のコミケを全部回るのはフルマラソン完走ぐらい無理です編

前回のまとめ
 朝もはよから異常な暑さをみせる東京。いや東京では異常じゃないかもですが。
 寝不足なうえに長距離の早歩きをさせられ、おまけにスペースが見つからない。やっと見つけたら机に折り重なるイス(三つ)とチラシの山(異常量)に逃げ出す始末。
 倒れそうになって座り込んだらスタッフに怒られたり散々だったが、なんとかトイレに行ってた留さんと合流して無事に仕度を済ませることができた。
 あとはコミケでの我々の使命は「本を五冊売る」「浅葱さんと出会うまでなんとか帰らずに生きている」だけだ!
 果たして我々は今日、無事に札幌に辿りつくことができるのか。(訳・ちょっともうコミケは終わったことになっている)
 隣の人は来ないものの、騒動も終わり、もうすぐコミケが始まるようです。放送とかがかかります。もう放送の詳細はすっかり忘れました。肉体的精神的に覚えているような状況じゃなかったような覚えがあります。
 はわー。
 コミケです。
 売るひとですよ。
 我々も出世したものです。一年前の今ごろは家でアイスを食べながらごろごろしていたに違いありません。それはそれで悔いはないのですが。
 祭の前でワクワクしている半面、肉体状況は良くありません。傍目には私はただ座っているだけの人に見えますが、言うならボクシングでのインターバルと似た状態です。さっきまで倒れそうになった体力を一生懸命回復しようとしているのです。はあはあ。Aボタン連打。
 そんな中、無事コミケは始まりました。
 壁サークルに殺到するという様子を見なくちゃ! 開催! コーミ☆ケット!
 どど~ん。
 ……。
 よく見えない。
 さすが壁サークルです。壁際です。なんかただでさえ遠くて暗い壁際なのに、人がたかっていて何がなにやらわかりません。なんかー、諦めてぼんやりすることにした我々。
 そんでヒマなので、だらだらおしゃべりをしてヒマをつぶす私たち。今までの人生経験上、売れない店ほどやるせないものはありません。
 それでも暫くすると、やっとちらほら人が回ってきたようです。
 一人、メガネの女性がうちのブース前に迷い込んでいらっしゃいました。彼女は表紙を見ると、声をかけてくれました。
「新規さんですか?」
「はい、今回が初めてなんです」
「がんばってくださいね」
 そう言って、中身を見ることなく本を買ってくれました。ありがとうございますありがとうございます。あんまり嬉しかったので留さんがアメを贈呈です。どうやら本を一冊は売ることができたようです。
 しかし本が気に入ったというより、これからのコミケの将来を憂えてというのがピッタリなお買い上げ方でした。でもまあ気にしすぎると白髪が増えますし。
 ああ、そういえば大量のチラシを捨てなくてはいけないのでした。始まってしばらく経ってから、とスタッフさんが言っていましたがそろそろいいでしょう。
 ちょっと行ってくる~ほーいといった感じでテケテケと捨てに行く私。ついでに壁サークルの様子でも見てみましょう。
 ……。
 なんか近くに行ってもわかりませんでした。暗くてもこもこ人が多すぎです。
 まあゴミは無事捨てることができたので、戻ることにしました。
 そんな感じで過ごしていても時は流れ、人も多くなってきました。コスプレの人も回ってきたようです。
「!」
「はう!」
「おう!」
 首を伸ばして周りを見たりして、なんか興奮する我々。
 コスプレの出来不出来などはちっともわかりませんがどうでもええです。コスプレはすることに意義があるのですたぶん。
 しかし、あまたのコスプレの中でもやはり男子の女装(メイド服)はインパクトがでかいです。しかもなんか雰囲気の完成度が高い。「百年前から男子はこれを着るものだ」という感じで堂々と歩いています。
 ラムちゃんも凄い。
 胸の大きな人はすごい。
 ハガレンもいる!
 ドラクエの服も人目を惹く!
 ベジータ様はすごいなあ。さすが鳥山明です。
 そういえば、コスプレだとやはり髪の色が青とかキンパツなのですが、なにやら昔よりも色が綺麗に入っている気がしました。カツラって感じでもないですし。カラーリングであってもカツラであってもどのみちすごく進化した気がしますね。自然だー。
 ここがコスプレスペースだったら写真も撮り放題だったかもしれませんが、今回我々は本を売る人です。不自由な身の上です。なかなかお願いチャンスもありません。
 しかもそんな中、インド衣装のお嬢さん(超美人)がうちの本をなんでか買ってくれたりして嬉しいです。コスプレの上に購買なんて嬉しさ二乗です。お姉さんサービスしすぎです。
 封神演義では崇黒虎のコスプレの女の人がいたので、写真を撮らせてもらいました。感動……。残念ながら写真は当然載せられませんが、ありがとうございます~。
 普厳もいましたね。こちらは私が声をかけることのできるナンパ圏内(そんなものが)に入ってくれなかったので無理でした。
 しかし封神演義……。恐るべし……。ブース・コスプレともになかなかの人気です。
 そういえば、お隣さんがまだ来ません。
 明らかにお隣目当てのお客さんが空席をチラチラ見て行ってしまったりしました。うーん。人事ながらけっこう心配です。
 しかししばらくすると、無事いらっしゃいました。多分間に合わずに一般入場をされたのでしょう。女の子一人のようです。
 荷物を降ろして大変そうです。うんしょ。とりあえずスタッフさんに頼まれた仕事をする私。
「よろしくお願いします。あの、スタッフさんがこれと見本誌と見本誌票持ってくるように言ってました」
「そうですか、ありがとうございます~」
 あああなんかいい人みたいです。いろいろ手続きをすませ、本を並べています。ごそごそ。
 ……。
 たれぱんだ!!!(ズガーン!)
 できる! この人、できるわ!
 のちほどお話させていただいたのですが、やはりとても良い人でした。ああ、なんて愛らしいの……!
 おとなりさんは「思い出に一度だけ」ということで始めたらしいのですが、結局何故か続けてしまっているという(笑)ことでした。とても感じのよいお嬢さんでしたよー。
 私が会場を周っている間に留さんも話がはずんでいろいろいただいたりしたらしく、コミケ撤収後に「こっちの本もあげればよかった……」「あげればよかった……」と、後悔して呟いた二人だったのでした。遅いよ……。
 そんなことをしていたら。
「あの、浅葱しおんです」
 え。
 浅葱さんだ!
 本物だ!
 おおお~。部長! 部長さんなんだよ留さん!(興奮してわけのわからないことを)
「わああ~、ありがとうございます! 朝早くから並ばせてほんとにすみません!」
 興奮する私。明らかにタガが外れてしまいました。というか本当にあんなに並ばせてすみません。
「あの、これを。差し入れです」
 と何かくださいました。ええっ!? がさ。
 ワーイお菓子だ! ああ、私たちもついにコミケで差し入れを受け取る身分に(感慨)。
「それとこれも」
 ババーン!
 にゃんと! A4ファイルに入れられた、出力版浅葱さんのイラストたちです!
「おおおー! 凄い! キレイー!」
「キャー! エス(季刊)に載ってた花魁の絵だ!(ホームページ未収録)」
「よかったらファイルごともらってください」
 えええーそんな! なんてよくできたお嬢さんなんだ! 親の顔が見てみたい! 絵を見た留さんも大絶賛です。
「凄い! こんなに絵が上手でしかも若くてカワイイなんて!」
「ああ! そんなの私は前からそう思っていたよ!」
 今考えるとオバちゃん化が進んでいたような気がする。うんものすごく。
 興奮のあまり大騒ぎしてしまいました。両隣のサークルさんすみません。
 一緒に写真も撮ってもらいました。ポストカードももらってしまいました。浅葱さんにはなんだか大変ご迷惑かけてすいませんでした。あらためて。でも嬉しかったです!
 そんで無事にひとつノルマ(生きていること)を果たし、なにやらだらだらムードになる我々。
 ぼへー。
 ひまです。
「ちょっと見回ってくる」
「うん」
 留さんが見回りに行ってしまいました。ひとりぼっちです。
 思ったのですが、私は以前コミケって一人で出して一人で売ってというイメージがあったのですよ。
 しかし、自分ひとりでこうして座っていると、これはけっこう寂しいものです。他のサークルさんが誰かと喋っているのがとても楽しそうです。
 あんまり本って売れるものではありませんし(ていうかアシが出ます)。まんが作って売るのが楽しいというのもありますが、こうやってコミュニケーションをとって友達と話すのが楽しくてやっている人ってけっこういるんじゃないかなーと思いました。
 そうこうしているうちに、めづさんがやってきました。
 ! うおお! 紫のレースワンピースで現れた!
「うおお、かわいい、かわいいよ!」
「今日はアフターがあるから。それで昨日のお礼にこれ」
 めづさんは青森ヒバの丸い玉とせっけんをくれました。おおーありがとうそんな気を使わなくてもいいのに!
 おお、いいによいです。癒し。せっけんは何を洗ってもいいらしいです。ほうー。
 私も喜んでいましたが、留さんは私の数倍喜んでいました。なにやらとても良いものらしいです。
「今日はすいてるね~」
 これでですか。でも昨日はすごかったらしい。汗をぼとぼと落としながら本を売ったそうです。うう、おつかれさまだ。
「二日目は腐女子の日なんだよね?」
「うん。女子ばっかりだから二日目は男子トイレが女子トイレになるんだよ」
 えええええ!
 そうだったのか! そんな女子率だったとは。
 お昼だったので、めづさんにお留守番を頼んでゴハンを買いに行くことにしました。来るときは気付かなかったのですが、けっこういろいろお店があるものです。
 奥にテイクアウトできる中華料理屋さん、屋台っぽくおにぎり、サンドイッチ、その他。
 いやそれはいいのですが。
 暑い!
 暑くて、人がいっぱいいます。すげーいます。
 廊下のあきスペースではたくさんの人が座り込んでいます。朝に私がスタッフさんに怒られたのがバカみたいです(いや売ってるスペースだったからだと思いますが)。
 覗き込むと、男の人がBLの本(しかも一番凄いシーン)を見ていました。うおお! いろんな意味でカルチャーショックです。
 こんなに堂々と18禁の本を広げて読むことができるなんて、どこのコンビニでもありえません。
 人波に押され、とりあえずコンビニへ。おにぎりとか買った気がしますが、人波に押されたことのほうが記憶に残っています。へろり。
 うう、あついよう、あついよう。
 どうしてこんなに人がいるんだよう。
 なにしろ広いので、コンビニへ行っただけでかなりの距離がある気がしました。頭の中がもあもあになりながらブースへ戻ります。んでおにぎりをつまんだり。
 戻ってきた留さんに話を聞くと、「阿部サダヲの総受け本があった」「水曜どうでしょうの本があった」という情報。楽しそうです。
 めづさんは「なんかコミケってそういう本があるんだよね~、なんか買わずにいられないような変わった本が」とおっしゃっておりました。即売会のダイゴミですね。
 そんで私も「まわってきたら?」と言われました。いやフラフラですしマジで。「でももったいないよー」との言葉。いやその通りですが。
 確かにあんまりあるチャンスでもありません。何万もかけているわけですし。そんじゃ自信はありませんがいっちょ行ってきてみますか。
 とことこ。
 おお、踊る大捜査線の本が。きっと青島とかが(以下略)。
 アメコミの本もあります。あとスタートレックとか。X-FILEの本とかもありますね。このへんは洋モノっぽいです。
 もっかい壁のあたりも行って見ましたが、なんというか近寄りがたいというか用が無いかんじというか。
 なんか実写系のあたりを見ましたが、広い。あとで見ようと思ったスタートレックの場所には二度とたどり着くことができませんでした。
 小説の本とか出している人もいましたが、なんかなかなか手にとって読みづらいものですね。
 そんで目に付くのが、「電王本は完売しました」の文字。あちこちで見受けられます。人気あるなあ電王……。
 その後めづさんが電王本を探しにいったところ、見つけることはできなかったようです。どんだけ売れたんだ電王。
 その後おやつを食べたり、めづさんのお友達が来てくださったり、そんで書店委託の話をしたりしました。結論から言えば我々の本でいくと、おすすめはYouClubとK-BOOKSとジュニアみたいです。
 その後もう一度見にまわって、兄のために「あずがんだむ大王」(あずまんが大王とガンダムが合体したマンガ)を買ってきました。これが大変喜ばれたのでよかったなあと思いました。面白かった。ララァが大阪やねん。
 そのあたりではおおきく振りかぶっての本とかがいっぱい売ってました。看板では当然のごとくメインの二人が裸だったのが好感がもてます。
 ワンピースとかテニプリとか、そういうジャンプ系はまたまとまって違うところで売っていたりするらしいですが見に行く余裕はありません。広すぎるよ。暑い。暑いよ。ぐあいわるいよ。
 またフラフラになりながら帰ると、みんないました。
「もうやり残すことはないの?」
「うん、ない」
 というかもう自分が危ない。
 そんじゃそろそろ帰ろうかーということになりました。もうだいぶ人もひけてきていますし。
 いよいよ撤収です。でもいきなり「撤収ってどうやってやるんだろう」がわからないことに気付く。
 ごめん教えてめづさん!
 はあはあ。そんで次回はとうとう撤収です!(やっとここまできたか)

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