2016おひとりさま東京旅行2。バスはここぞというところで壊れる。
おはようございます。旅行当日です。明るくさわやかな、むしろ肌寒い朝です。
バス始発です。ってあれえ?
余裕を持って間に合わせようと思ったのですが、インターネットで調べた近くのバス停の時間表が間違っていたらしく、始発はとうに行ってしまい、次のバスは10分後です。
幸先が悪い感じではありますが、計算上はちゃんと着くので、退屈しのぎに『最果てのイマ』(PSPのゲーム)をやり始める。旅行カバンを傍らに置いて、さわやかな朝のバス停でギャルゲーをやり始める私。一体何をやっているんだ。
まあ、昨日はちゃんと眠れましたし、前回の旅行のように前日に友人と酔っ払って終バスで帰り、始発のバスに乗るという残念なことはしていません。もう選挙権もある大人ですから普通の旅行者です。早速バス時間は間違えているが。
しばらくするとバスが来て無事に乗り込みましたが、緊張します。なにしろ前回から10年は経っているので、いろいろ勝手が違うのです。旅行申し込みの時に、確認番号とやらを出されて、それを機械に入力して名前と便を確認し、座席を指定しろとか書かれています。番号だけいいとは、進化しています。昔は磁気のついた、A4をタテに三分の一に切ったぐらいの大きさのチケットを渡されたものですが。
そもそも私が乗る新千歳空港は、数年前に完全に改装してしまい、ANAの受付カウンターがどこかもさっぱり分かりません。
まあ、考えてもしょうがないし、分からなかったら人に聞きましょう。なにしろ目的地はどこも一応ジャパン。日本語が通じるので大丈夫です。
新千歳空港行きのバスに無事乗り込みました。せいぜい4、5人しかおらず、のんきに構えていたら次のバス停でごんごん乗り込んできて、ほぼ満席です。私の隣にも仕事目的っぽいサラリーマンが「ここいいですか」と乗り込んできました。はいはい勿論かまいませんよ。というか、こんなに空港に行く人っているんだ、と驚く。
バスも高速道路に入り、あとは空港に着くのを待つだけです。予定では飛行機が飛ぶ45分前に着くので、まあ多少迷ったとしても間に合うはず。
高速道路も下り、南千歳あたりの信号前あたり。
突然、バスが不審な動きを始めました。
……?
よろよろと路肩に寄せて、止まってしまいました。
そして無線か何かで、どこかと話しています。すると乗客にこう言い始めました。
「……お客様すみません。突然ギアが入らなくなって運転できなくなりました。今会社に連絡します。申し訳ありませんがしばらくお待ちください」
とか運転手さんが言い出し、ドアを開けて外に出て、電話し始めてしまいました。
私は内心、「もんげー!」とか思いましたが、さすが訓練された日本人、怒り始める乗客は一人もいません。怒っても事態が変わるわけでもないし、というかほとんどの乗客はさっきまで寝ていてボンヤリモードが抜けないし。
私はわりと前のほうの席だったので運転手さんの様子を見ていたのですが、会社に連絡するって、ここまで代わりのバスでも来てくれるのかな……。とか思いましたが、どうやらそんな空気は感じず、運転手さんが現在地を何度か伝えてもはかばかしい返事が返ってきません。
そのうち運転手さんが運転席に戻り、電話で話しながらギアをがこがこし始めました。
「全然入らないです……、あ、2速は少し入るようになりました」
などという会話が続きます。ようは会社としては、「空港まであと少しなんだし、お前なんとかそのまま運転して空港まで行って来い」というような覆らない意思決定なのではないかと感じます。
おいおい大丈夫なのかと思いましたが、まあブレーキが利けば死なないだろうとかいろいろ無言で考える私。
そうこうとがこがこしているうちに、運転手さんも「まあ仕方ない、こんな感じで行くか」という感じになったようです。
「なんとか少しギアが入るようになったので、出発します。大変お待たせいたしました」
と、ほんのり不安含みで再出発です。心配しましたがなんとかバスは普通に動くようです。
腕時計を見ると15分遅れています。ま、まあ、大丈夫かな……。とは思いますが、新千歳空港は無茶苦茶広いのです(以前遊びに行った)。間に合うでしょうか。
バスはまず国内線入口のところに止まりました。流石に私もちょっと慌てながら下ります。私は普通のカバンなのでそのまま下りましたが、ひっぱる系のカバンはバスのトランクに入れられているので、タイムロスがあるようです。大丈夫でしょうか。
しかし人の心配をしている場合ではありません。私の前に、旅慣れた感じのビジネスマン風のおじさまたちがエスカレーターを駆け上がっていくので、「よしこっちか!」とばかりに無言でおじさまたちについて行きます。
エスカレーターを駆け上がると、正面に向かうおじさまと、左横に走るおじさまに分かれました。「うっどっちだ!」ととりあえず正面に進むと、どうやら正面すぐの場所はJALで、ANAはもっと左側で遠いようです。
「これは政治か、政治なのか!」と思いつつ、沈まぬ太陽(小説)のことを思いながら、若干遠いANAに向かいます。するとコンビニにあるような端末があって、「これが例の、番号を入れるヤツか!」と前に立ちます。こんなこともあろうかと、番号を書いた紙は事前に取り出しやすくしておいたのです。
確認番号を入れて、名前と飛行機の便を確認。座席を指定して、全部終わると搭乗券が発行されます。コンビニ端末慣れしていたので、けっこうスムーズに行きました。
しかし、「15分前に手荷物検査してください」みたいな感じの表示が出ました。にゃんと。あと5分10分ぐらいしか時間がありません。
えー、正直に言います。私、手荷物検査の存在をすっかりと忘れておりました。ですのでこの時、「ほわちゃあ!」みたいな叫びを心の中で致しました。なんならちょっと叫んでいたかもしれません。一人で。
急いでペットボトルとヘアムースのスプレー缶出して、あと体の金属を外せと書かれていたので、ネックレスと腕時計と指輪と腕輪を外します。よりによってなんでこんなに着けていたんだ。
実は少し前に、「指輪が死体の身元の決め手になった」みたいなテレビを見ていたので、一応いつもはつけない指輪とかをつけていたのでした。しかし、死体になる前に飛行機に乗れなくなっても困ります。いやいいのかもしれませんがまあともあれ。
しかも、ここで「チケットを出してください」とか言われてまた慌てる。
かなり慌てながらも、「とおっ」とゲートを通って荷物を受け取り、なんとか飛行機の入り口付近までたどり着くことができました。危なかった……。
まあでも今回はましなほうです。前回はカッターでひっかかって面倒なことになったのであった。
私がカッターを持っていてどんな犯罪を起こせるというのか今でも謎ですが。たぶんネコにも勝てんよ。
一連の儀式が無事済んだのでなんとか落ち着きを取り戻し、トイレ行って水飲んで、すぐに15分前です。ようやく改札となりました。
まず、「お子さんがいらっしゃる方、妊婦の方はお先に改札となります」みたいなことを改札のお姉さんが言っています。まあ、そうですよね。どうぞどうぞお先に。
問題は次です。
「プレミアムメンバーの方の改札となります。プレミアムメンバーの方どうぞ」
……はう?
想像するに、年会費とか払って入るプレミアム会があって、その会員だと優先的に、というか先に搭乗ができるようです。
いや、なにそのヒエラルキー。別によく考えれば理解もできるんですが、なにそのヒエラルキー。しかしヒエラルキーが下なので、黙って待っています。こんなことならあんなに焦ることはなかったのでは……。
「次は、座席番号が25番より後方のお客様の改札となります」
ほふー。私は前方です。
いや、別にいいんですが、なんだか脳がとろけてきました。
「お待たせ致しました。すべてのお客様が改札となります」
ふにゃー。
やっと出番が来ました。改札に並びます。昔はでっかい磁気のついたチケットをガッチャンと機械に通したものですが、今はさきほど端末から出てきた二次元バーコードをピッとするらしいです。進化しておる。おばあちゃん随分と長く乗らなかった間に進化しておる……。
でも、不慣れなのでうまくピッといかず、美人のお姉さんが代わりに手を添えてくれました。どうしてこう私はいつもスムーズにいかぬのか。とにかく飛行機に乗り込みます。
ANAのキャビンアテンダントさんは、若くて美人で親切でした。「お荷物お入れしますね~」とか美人に優しくされて浮かれる私。JAL(10年前)の時はオバちゃんスッチャデス(だったのだろうか)に暴言を吐かれたものですが。
私の席は、男の人二人に挟まれた真ん中でした。でもたぶん向こうも私のことをどうでもいいと思っているし、私も彼らをどうでもいいと思っているという、あんまり問題のない関係になりそうです。
飛行機は飛び立ち、左の男の人は小説を読んでたけど寝てしまい、右の男の人はノートパソコンを開いて仕事かなにかをしだし、私は真ん中で『最果てのイマ』(ギャルゲー)をやるという、わけのわからない布陣で飛行機に乗っていたのでした。つづく。
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