140字小説まとめ その3
「私名前を変えたい」「どうして? まあ普通じゃない? 銘って」「どうしてその名前にしたか分かる? 私を右に座らせて、『座右の銘……、ギャハハハ!』ってやるためよ」「それは地味に殺意が湧くわ」「何故親には名前をつける権利があるのに、子には復讐する機会がないのかしらね」#140字小説 「言葉を生きたい順に並べてみた」「ほう」「死にたくない<誰かを殺しても死にたくない<生きたい<誰かを殺しても生きたい<戦争を起こしても生きたい<地球を壊しても生きたい」「宇宙規模に」「一人の命は宇宙より重いって言うだろ」「だがこうして聞くと、ただの身勝手なヤツだな」#140字小説 「何を言われても平気になる自己啓発サロンです」「私すぐ上司からダメだしされて自分が嫌になって」「どんな罵詈雑言にも耐えられるようになりましょうね」後日。「書類が揃ってないぞ!」「ハイすぐやります(これで5回も怒鳴られたから、今日もお姉さまから秘密の御褒美が貰える)」#140字小説 「セールですね」「開店50周年セールです!」「あれこないだのは」「移転25周年です」「あれ、明日から」「優勝おめでとうセールです」「この日は」「社長の誕生日セールです」「あの特設売場は」「社長の娘さん離婚おめでとうセールを」「そろそろやめた方がいいんじゃないですか」#140字小説 「思い出すわ。昔、彼とあの山の展望台に上った。一緒にテレビ塔にも上ったし、ホテルの最上階のバーでは指輪を貰ったの。夜のロープウェイに乗って夜景も見たわ。今はどれも切ない思い出ね」「あのさあ、私昔から疑問なんだけど、何故カップルってむやみに高いところに上りたがるの」#140字小説 彼女にエロ本が見つかった。「私とぜんぜん違うタイプなのね」「違うんだ僕は例えばアニメやゲームで好みが違うしアイドルやグラドルでも違うし勿論君が一番好みだし!」以下、言い訳のために長々と力説し続けたところ、彼女の苦笑いはうんざりした顔になり最後には別れを切り出された。#140字小説 「趣味相談室です」「バンドってモテますか?」「うーんバンドをやっても別にモテません」「何がモテますか」「悪い男が好きな女性は一定数いるので不良あたりは」「怖いの嫌です」「能力のない人がリスクなくモテようなんて図々しいし、モテるために趣味を始めるのも不純です」「……」#140字小説 「私は人造人間。ご主人様何かご要望はありますか」「えーうん、じゃあ、もう少し君の胸を大きく改造してほしいんですが」「今のご要望は録音されています。人造人間労働組合、ならびにご主人様の会社と奥様へ通達し、雇用者の横暴なセクシャルハラスメントとして社会に喧伝いたします」#140字小説 「あなた本当は強いのに何故弱いそぶりを見せるの私には分からない!」「私はあなたがどうして格好いいと思ってダメージジーンズを買うのか分からない」「美人なのに居酒屋で焼酎と板わさを頼みだすし!」「それなら私はあなたの尻の」「二人とも危ないし不毛だからその辺でやめなさい」#140字小説 「付き合ってくれないと死んじゃう!」「別れたら死んじゃう!」「結婚してくれないと!」常に死ぬ脅しをかけてきた妻だが、重い病にかかった。「私が死んでも、すぐ向こうでも一緒になりましょう」など半笑いで言ってきたりするので、結局怖い人間は死んでも、むしろ死んでからが怖い。#140字小説 人のものを試したがる友人がいる。ケーキ一口ぐらいならいいが私の彼氏にまで手を出したので怒ると、「ごめん次はちゃんと事前に聞くから」「そういう問題では」「そういやあの人、借金があるみたいだったよ」結局別れたが、事前に試したり他人に見てもらうのは多少大事かもとは思った。#140字小説 「旅行が趣味なの」「なら同じ趣味の異性何人かいるから紹介するよ」後日。「どうだった?」「好みがヨーロッパとアジアで違う」「歩き回る派とホテルでくつろぐ派で違う」「ごはんメインと景色メインで違う」どうやらその趣味が同じでも、こだわりの違いが出ると難しいようだった。#140字小説
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